今回作ったのはザクマシンガンです。
ザクマシンガンは2作目になります。前回作ったのは電動ガンの改造でした。連邦バージョンで、設定イラストを見るとM4にソックリだった。市販されてる電動ガンから改造すれば出来るだろうって事で製作したのが前回でした。http://www.shoumatsuya.com/?cat=16
今回は発火モデルガンです。連邦はビームのイメージがあるので“電動ガン”、ジオンは実弾のイメージがあるので“発火モデルガン”・・・。たまたま自分の作りたい作風の流れで、そんなふうに作り分けされてしまったわけですが、イメージは合いますね。
発火モデルガンは、今まで作った物は奇跡的に全て作動しました。それは、比較的構造が単純なオープンボルトだったからだと思います。
そしてまたもや今回も基本はオープンボルトです。出来るだけ簡単に動かしたいです。フルオートをメインで動かすなら、クローズドにする必要はないと思います。
オープンボルトなだけってのは簡単なので、過去作った作品それぞれにやったこと無い事を試みてきたわけですが、それでもなんとかやってこれた。ホントにたまたまだろうなw このザクマシンガンで挑戦するのは、「ドラムマガジン」と「バースト機構」です。上手くいくかどうかはわかりません!!
まずはCADで設計です。この段階では、イキナリCADに打ち込まずに、メモ用紙にラクガキ程度のアイデアスケッチをしながら作業します。
まずは、今回の自分への課題である、マガジンとバースト機構から考えます。これは、M4の六角カム方式のバースト機構を参考にしました。まぁ、適当に考えたわけですから、この設計でCAD上で動かしても、作動不良になることがわかったw
次は、SIGのバースト機構を参考にした。SIGは時計で有名なスイスの銃ですから、とてもすばらしい設計ですね。SIGのバースト機構は、ギアを前後からはさむような感じ。トリガーを引くとギアをはさんで一方通行の動きをさせ、3発で止まるようになっています。
さらに発展させて、ギアを押し付けるような設計にしました。カウント数は5発です。実銃でよくあるのは3連射ですが、ガンダムのゲーム等だと、ザクマシンガンは5発くらいのバースト連射です。
SIGの真ん中にギアがある方式と、ベレッタ93Rのギザギザの板を押し付ける方式をミックスしたような設計にしました。
描く順序は、マガジン→バースト機構→ボルト→レシーバーや外装アクセサリー、って順番です。
中身を描いて、中身を包む外側を書いて、外側を書いてみたらイメージがちがうので外側を自分のイメージの方向へ、中身の配置が変わってくるので書き直して、それにあわせてさらに外側を書いて、まだイメージが違って形変えて、また中を書き直して・・・・・・と少しずつ修正しながらの作業でした。
ザクマシンガンって、プラモデルやイラストを見ても毎回形がちがうし、イメージする形状は細かい部分で人それぞれちがうと思います。逆に、ザクマシンガン以外の銃器を見ても、コレって形がザクマシンガンっぽいな~って感じる事ってあると思います。
中身を作りながらガワを作ってく作業なので、ガワの形状は中身に伴った形になってしまいますが、ザクマシンガンらしいキーポイントを押さえれば、みんなのイメージするザクマシンガンのような形状になっていくのではないかと思いながら、設計しました。
CADの画面ではどうにも形を決められない部分は、テストピースを作りながら、設計していきました。
CADがほぼ出来上がってきたなぁ~って頃合いで、加工をスタートします。細かいツメの部分は脳内においといて、加工しながら後で付け加えます。加工途中に、思わぬ不具合が見付かるからです。最初から細かく設計を詰めすぎると、修正も細かくなります。
まぁ、この絵を見てもじゅうぶんこまかいですが↑w けっこう時間がかかった。 これくらいで加工スタート!
マガジンから作ります。
加工はいつもどおりマシニングです。会社の機械をお借りしての作業になりますが、いつまでも会社がこんな遊びを許してくれるかわかりません。
コレが最後になるかもしれないから、と気合を入れつつ、また、感謝の気持ちをもって、真剣に作ります。時々デスクの上に置きっぱなしにしてあるモデルガン用に作った部品を、社長が見たりします。完成品も、カッコイイかどうか見られます。作りがテキトーだと一言言われますw 遊びの物つくりでも、テキトー許されませんw 真剣です!
マガジンの中身になる部品はこんな感じです。
マガジンのケースは、流行りのシースルーで。弾のたくさん入るドラムマガジンは、残弾確認が出来た方がリアルだと思います。
カートリッジは、マルイの多弾マグのゼンマイを利用して、給弾機構の動力にしたいと思いました。そのゼンマイを仕込んだ写真です。しかし、これではバネの力が弱すぎて、作動しません・・・
ナイスリサイクルとか思ったのになw
バネを大きなものに変えます。いくつか買って、試しながらバネを選びます。こういう事してるとお金がなくなりますw
大きなバネを入れるために、部品を作り直します。
バネを仕込む部分は、マルイのマガジンを参考にしました。ゼンマイで作動するものって、中はだいたいこういう設計になっているのかな??勉強になりました。
ゼンマイが大きくなった影響で、上のフタも作り直しになります。
最初に作ったのは形がのっぺりした感じなので、ボリュームをもたせた形状にしました。かっこよくしたつもりだけど、重さが心配意ですw
組み付け終了!!
だが、しか~し!!
ダブルカラムマガジンが言う事きいてくれません・・・
2列状態から1列状態に整列するときの力と、マガジンの外にカートリッジが出る力がぶつかり合って、マガジン内でカートリッジがギクシャクした動きになってます。
あきらめてシングルカラム化します・・・
部品を作り直し・・・
見た目は変わりませんが・・・
裏返しにすると、シングルカラムになっているのが見えます。ドラムなのに、非常にがっかりです。少しでもたくさん弾入れたかった・・・
・・・が!! 動きはスムーズになりました!!!
カートリッジを入れるのは難しいですが、出るときはシャカシャカ出てきてくれます!!
次はレシーバーの試作にとりかかります。
まずは中身の見える、クリアモデルの試作品を作って、機関部の設計を調整をしながら作っていきます。
ボルトです。レシーバーに取り付くエジェクターとの兼ね合いも見ながら作ります。ボルト本体の材料は66ナイロンで、タニオコバのカートリッジの寸法に合わせて作っていきます。エキストラクタとリムの掛かり具合を調整しながらですね。
中心に真鍮パイプの芯がありますが、発火テストの衝撃で外れました・・・。ナイロンに接着は不可能ですね。
アッパーレシーバーのパーツは、上に書いたボルト以外に、デトネーター、ボルトハンドル、マガジンストッパー、レシーバーのストッパー。写真にはないですが、ボルトの後ろにはリコイルスプリングも入ります。
アッパーレシーバーを組み付けた写真です。 エジェクションポートの中にエジェクターが2個ありますが・・・それは“苦労の跡”ですねw
マガジン、アッパーレシーバー、が出来たので、手動で動作確認します。
手動だといい感じですね~
次はロアレシーバーです。
ロアレシーバーにはトリガーメカが入ります。
バーストギミックがあるので、部品点数は多いです。
試作品なのでセレクターポジションは手書きです。最初は左のように数字を書いてたんだけど、ジオンってなんとなくドイツっぽい感じがするので、ヘッケラーをパクッて右のようにしました。
スペースコロニーに住む人たちは移民者です。たくさんの国の人たちと集まって共に生活しているはずなので、ザクマシンガンはユニバーサルデザインになるのではないかという発想です。
マガジン、レーシーバー、発火作動に必要な部品はそろったので、発火テストをします。
←をクリックすると発火動画が見れます。
途中でいちど弾をひろいませんでしたが、ドラムマガジン、発火機構は快調に作動しました。
次はバーストを試してみます。
←をクリックすると動画が見れます。
バースト機構自体は思惑通りの作動。
が・・・! コッキングレバー折れるッ・・・
そして何度もテストしてるうちに、またコックレバーが折れる、そしてボルトも折れるwww
痛恨・・・
また直して発火テストを続けました。
ジャムってるけど、ちゃんと3バーストするようです。バーストはこれでOKでしょう!
コレで、試作テストは終了です。
次はABSでレシーバーをフルサイズで作って、ザクマシンガンを完成形にしていきます。
バレル周辺です。バレルジャケットは東京マルイのレイルを使いました。純正の既製品は最高!
ハイダーはケミカルウッド、アウターバレルはアクリルパイプ、他のリング状の部品は黒色ABSです。
アッパーレシーバは黒色ABS。アッパーレシーバは透明アクリルで作った試作品とまったく同じ形です。
マガジンを取り付けた様子。後の試射でコッキングハンドルが重すぎだということがわかり、小さくしました。この写真は大きなままですね。
素材がABSなので、試作品のアクリルと比べるとやわらかく、フレーム自体のしなりが少し気になる・・・
ロアレシーバーは、ストックを取り付けるために、透明アクリルで作った試作品とは多少形状が違います。
中身はまったく同じです。(微調整はします)
サイトには、アクリルパイプ、ケミカルウッド、東京マルイの純正アフターパーツのハイマウントを使います。
赤いレンズが入るのは、塗装が終わってからです。
すべての部品が出来上がったので、並べてみました。なかなかイイ感じやと思う。
けっこう大きいです。1メートル30センチくらいありました。
黒のままでもカッコイイのですが・・・塗装して組み立てます。
今回のカラーレシピ。下塗りにガイアカラーの黒サフ。上塗りにガンダムカラーのMSグレージオン系。
部品に黒をまんべんなく塗ってから、グレーをグラデーション塗装していきます。
今回初めて“黒サフ”を使ったんですが、すごく良かったです。
黒サフの塗料の濃度はエアブラシで吹ける程度に薄めましたが、それでも食いつきが強いです。下地剤としてのサフェーサーの効果が高いです。少し擦ったくらいでは剥がれません。しかも材料の上に直接黒を塗れるので、サフェーサーの上に黒塗装するより、塗膜が薄くできて、綺麗です。
ガンダムカラーのグレーも、色味が良く、グラデーションが綺麗です。ガンダムカラーは、グラデーション塗装に向いています。
木目っぽく塗装したところは、チョット安っぽいかな・・・
組み立ててみた。
かなりイイと思う!!
木目風のグリップや、全体のグレーのグラデーション、シースルーマガジン、レイル、そして発火モデルガンギミック。過去にいろんな人がザクマシンガンを作ったと思うし、自分も作ったりしたけど・・・・・・コイツはかなりユニークな固体だと思う!!!
内部機構の兼ね合いで、外装もガンプラのザクマシンガンとはちょっとバランスが違いますが、それが個性的でいいのだッ
マガジンを外すと、ボルトとメインスプリングが丸見え! こういうのがモデルガンらしくてカッコイイ。
スイッチ1つでアッパーレシーバーがテイクダウンします。よーく見るとロアレシーバーの機構が見えます。チラリズム。
セレクターポジションは近代ドイツっぽく。なんとなくジオンってドイツのイメージw
サイトやレイルのゴチャゴチャした感じがイイ。 その代わりグラデーション塗装が細かくて大変だったよ・・・
塗装が終わったら、いよいよ発火シーンの撮影をします。
撮影は無事に完了したのですが、一日で一気に70発ほど発火させたんですが、破損やヘタリがちらほら・・・
メインスプリングは、縮んでしなっています。自分がモデルガンを作る場合、メインスプリング(バッファースプリング?)は直列に何本か並べて使います。ザクマシンガンの発火で、その並んだスプリングのうち、ボルトに接している一本が急激にヘタリました。以前のテストも含めると100発ほどの発火を受け止めました。
アルマイトカートリッジも何個か壊れました。エキストラクタの引っ張り傷より、エジェクタとぶつかった傷の方が、ダメージが大きいようです。アルミなので、リムが曲がりやすいようです。カートリッジの破損の多くはリムの変形で、他はインナーのOリング切れでした。
他に壊れたところは、写真は無いですが、コッキングハンドルです。ザクマシンガンを作り始めてから、トータルで5~6本はブローバックの衝撃で折れて飛びました。そのつど作り直しました(涙
コッキングハンドルは、ボルトに直接付けないほうがよいという事が、よくわかりました・・・
ボルトにコッキングハンドルが付いていれば、ボルトの重量アップに貢献できると思ったんですが、作戦ミスですね。
あ、そういえば、ボルト本体も一本折ってましたw